
給与計算代行を検討していても、「従業員のマイナンバーまで外部へ任せて大丈夫なのか」と不安に感じる担当者は少なくありません。
マイナンバーは、回収・本人確認・保管・書類への記載・削除まで適切に管理する必要があり、委託後も会社には確認すべき役割が残ります。
本記事では、給与計算代行へ任せられるマイナンバー管理の範囲や外注するメリット、会社と代行会社の役割分担、安全な委託先を選ぶポイントを分かりやすく解説します。
給与計算代行にはマイナンバーの回収から削除まで任せられる
給与計算代行では、毎月の給与額を計算するだけでなく、マイナンバーを集めて確認し、必要な書類へ記載した後に削除する作業まで依頼できます。
ただし、対応範囲は代行会社によって異なります。
ここでは、マイナンバーを使用する場面、任せられる作業、会社側に残る役割を順番に説明します。
給与計算では源泉徴収票など3つの書類にマイナンバーを使う
マイナンバーは、毎月の給与額や残業代を計算するために使う番号ではありません。
主に、税金や社会保険に関する書類を国や市区町村などへ提出するときに使います。
代表的なものは、税務署へ提出する「給与所得の源泉徴収票」、市区町村へ提出する「給与支払報告書」、社会保険や雇用保険に関する届出書類の3種類です。
入社や退職、扶養家族の変更などがあったときにも、マイナンバーが必要になる場合があります。
国税庁によると、税務署へ提出する源泉徴収票にはマイナンバーを記載しますが、従業員本人へ渡す源泉徴収票には記載しません。
どの書類へ記載し、誰へ提出するのかを区別して管理することが大切です。
国税庁の「個人番号の記載は必要ありません!」によると、税務署へ提出する源泉徴収票にはマイナンバーを記載する必要があります。
一方、従業員本人へ交付する源泉徴収票には、情報漏えいを防ぐ観点からマイナンバーを記載しません。
提出先によって記載の有無が異なるため、税務署提出用と本人交付用を区別して作成・管理する必要があります。
※出典:国税庁「個人番号の記載は必要ありません!」
集める・確認する・保管する・書類に使う・削除する作業まで任せられる
給与計算代行でマイナンバーを管理する場合、一般的には5つの作業を依頼できます。
従業員や扶養家族から番号を集める、
本人の番号で間違いないか確認する、
安全な環境で保管する、
源泉徴収票などへ記載する、
不要になった情報を削除する作業です。
個人情報保護委員会のガイドラインでは、本人からマイナンバーを受け取る際に本人確認を行う必要があるとしています。
マイナンバーカードを使う方法のほか、番号確認書類と運転免許証などを組み合わせる方法もあります。
また、法令で決められた保存期間を過ぎ、使用する必要がなくなった情報は、できるだけ早く削除または廃棄する必要があります。
未提出者への連絡や書類の不備確認まで任せられるかは、契約前に確認してください。
外部へ任せた後も会社が確認しなければならないことがある
給与計算代行へマイナンバー管理を任せても、会社側の役割がすべてなくなるわけではありません。
会社には、少なくとも3つの確認が必要です。
1つ目は、安全に管理できる代行会社を選ぶことです。
2つ目は、情報の保管方法や漏えい時の対応、契約終了後の削除方法を契約書へ記載することです。
3つ目は、契約後も決めたルールどおりに扱われているか確認することです。
個人情報保護委員会も、委託する会社に対して「委託先の適切な選定」「安全管理に関する契約」「取扱状況の把握」を求めています。
外部へ任せた後も、定期的な報告を受け、別の会社へ作業が回されていないか、契約終了後に情報が返却・削除されるかまで確認する必要があります。
マイナンバー管理を給与計算代行へ任せるメリット3選
給与計算代行でマイナンバー管理まで任せると、紙やExcelを扱う機会が減り、回収・確認・削除の作業も整理しやすくなります。
ここでは、中小企業が得やすい3つのメリットを説明します。
メリット①:紙やExcelで保管する機会が減り、情報漏えいを防ぎやすくなる
従業員数百名分のマイナンバーを紙やExcelで管理すると、書類の置き忘れ、メールへの誤添付、共有フォルダの設定ミスなどが起こりやすくなります。
担当者が1~3名の会社では、保管場所やパスワードを一部の人だけが把握する状態にもなりがちです。(※自社調べ)
専用画面を使う給与計算代行会社を選べば、従業員が直接情報を提出し、見られる人を限定した環境で保管できます。
個人情報保護委員会も、マイナンバーを扱う担当者の限定や、不正アクセスを防ぐ対策を求めています。
保存方法と閲覧記録は契約前に確認してください。
メリット②:マイナンバーの回収や確認にかかる担当者の負担を減らせる
マイナンバー管理では、番号の回収に加え、本人確認書類の確認、不足書類の連絡、未提出者への催促が必要です。
例えば200名のうち5%が未提出なら、10名へ個別に連絡します。入退社や扶養家族の追加があるたびに同じ作業が発生します。
給与計算代行でマイナンバー管理を任せると、提出状況の一覧化や書類確認、未提出者への案内まで依頼できる場合があります。
社内担当者は、不備の一覧を確認し、社内でしか判断できない内容へ対応できます。回収・本人確認・催促の3項目を見積もり時に確認しましょう。
メリット③:退職者の情報を消し忘れるなどの管理漏れを防ぎやすくなる
退職者のマイナンバーは、退職日にすぐ消すのではなく、関係書類を保存する必要がなくなった時点で削除します。
退職日と削除日が異なるため、Excelや紙の台帳では削除予定を忘れやすくなります。
月1回確認していても、担当者の異動や休職で止まる可能性があります。
代行会社へ任せれば、退職情報と保存期限を結び付け、期限後に削除する流れを決めやすくなります。
個人情報保護委員会は、不要になった個人データを復元できない方法で消去し、外部へ委託する場合は委託先を適切に監督するよう示しています。
削除後の報告書も確認してください。
会社と代行会社が担当する作業を先に決めると確認漏れを防げる
給与計算代行でマイナンバー管理を任せるときは、誰が・いつまでに・どの方法で行うかを決める必要があります。
ここでは、入社時の回収から退職後の削除まで、先に決めたい役割分担を説明します。
従業員への案内・未提出者への連絡・書類の確認を誰が行うか決める
まず、①利用目的の案内、②未提出者への連絡、③提出書類の確認という3つの作業を、自社と代行会社のどちらが担当するか決めます。
例えば、入社時の案内は自社が行い、提出状況の一覧作成や未提出者への連絡は代行会社へ任せる方法があります。
従業員が数百名いる会社では、入社・扶養変更・再提出が重なると、連絡先や期限が分からなくなりやすくなります。
「毎月10日までに自社が入退社情報を共有し、代行会社が15日までに不備を報告する」など、期限まで具体的に定めます。
個人情報保護委員会は、委託先の選定や契約だけでなく、マイナンバーの取扱状況を把握することも会社に求めています。
担当範囲は口頭で済ませず、契約書や作業一覧に残してください。
退職の連絡・情報を残す期間・削除した証拠まで決める
退職者が出たときは、
①退職日を誰が伝えるか、
②いつまで情報を残すか、
③削除後に何を受け取るかの3点を決めます。
退職した当日にマイナンバーを消すのではなく、関係書類の保存期間が終わり、利用する必要がなくなってから削除します。
個人情報保護委員会は、保存期間を過ぎた個人番号を、できるだけ速やかに復元できない方法で削除・廃棄し、外部へ任せた場合は証明書などで完了を確認するよう示しています。
給与計算代行でマイナンバー管理を行う場合は、退職情報を月1回共有するのか、発生時ごとに伝えるのかも決めます。
削除日、対象者、実施者を記録した報告書を受け取れる契約にすると、消し忘れや確認漏れを防ぎやすくなります。
安全にマイナンバーを任せるには管理方法と対応の早さを確認する
給与計算代行でマイナンバー管理を任せるときは、料金や知名度だけで決めず、情報を守る方法と日常の対応体制を確認する必要があります。
ここでは、委託前に確認したい5項目と、数百名規模で重視したい導入の進め方を説明します。
マイナンバーを安全に管理できる会社か5つの項目で確認する
候補となる会社には、次の5項目を質問してください。
①マイナンバーを見られる担当者を限定しているか、
②データの送受信と保管時に暗号化しているか、
③閲覧・変更・削除の記録が残るか、
④別会社へ作業を任せる場合に事前承認があるか、
⑤契約終了後に返却・削除を確認できるか、の5点です。
個人情報保護委員会は、委託元に対して、委託先を適切に選び、安全管理に関する契約を結び、取扱状況を把握するよう求めています。
また、別会社へ作業を任せる場合は、委託元の許可が必要です。
認証の有無だけでなく、自社の情報が誰に、どの方法で扱われるかまで確認します。
数百名規模では導入までの流れと質問への返事の早さを確認する
数百名規模では、入退社や扶養変更、未提出者への連絡が同時に発生しやすいため、導入手順を確認します。
一般的には、
①現在の管理方法を整理する、
②任せる範囲を決める、
③データの受け渡し方法を決める、
④試験運用を行う、
⑤本番へ切り替える、という5段階です。
導入期間だけでなく、質問への返事が何営業日以内か、担当者が休んだときに代わりの人が対応できるかも確認してください。
給与締切の直前に不備が見つかった場合、返事が遅いと給与計算全体へ影響します。
給与計算代行でマイナンバー管理を安定させるには、連絡期限と緊急時の窓口を契約前に決めることが重要です。
給与計算代行へマイナンバー管理を任せる前に委託範囲と監督方法を整理する
給与計算代行には、マイナンバーの収集、本人確認、保管、利用、廃棄まで委託できることを振り返る。
一方で、会社には利用目的の通知、適切な委託先の選定、委託後の監督といった責任が残る。
料金だけで判断せず、安全管理措置、未提出者への対応、退職者データの削除方法、情報漏えい時の連絡体制を確認することが重要だとまとめる。
まずは自社に残す作業と外注する作業を整理し、対応範囲を比較することを促す。
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給与計算代行とマイナンバー管理のよくある質問
給与計算代行へマイナンバー管理を任せる際によくある疑問をまとめました。
本人確認の方法や扶養家族への対応、情報漏えい時の責任、導入までの期間を確認しておきましょう。
Q1. マイナンバーカードを持っていない従業員でも、別の書類で本人確認を進められますか?
マイナンバーカードがなくても、番号を確認できる書類と、運転免許証など本人であることを確認できる書類を組み合わせて提出できます。
利用できる書類は状況によって異なるため、回収前に代行会社の提出方法を確認してください。
Q2. 従業員本人だけでなく、配偶者や子どもなど扶養家族のマイナンバー管理も任せられますか?
扶養家族分まで対応する給与計算代行会社もあります。
ただし、本人確認、未提出時の連絡、保管、書類への記載、削除のうち、依頼できる範囲は会社ごとに異なります。
見積もり時に扶養家族数と年間の変更件数を伝えてください。
Q3. 給与計算代行会社で情報漏えいが起きた場合、責任や補償の範囲はどのように決まりますか?
責任や補償の範囲は、事故の原因と委託契約の内容によって変わります。
委託後も自社には委託先を確認する責任が残るため、事故の連絡期限、原因調査、従業員への通知、損害補償の上限を契約前に具体的に確認してください。
Q4. 現在の紙やExcelから切り替える際に、従業員から番号を集め直す必要はありますか?
必ず集め直すとは限りません。適切に取得・保管され、本人確認も済んでいるデータは、安全な方法で移せる場合があります。
ただし、書類不足や情報の不一致があると再提出が必要です。現在の保管状況を一覧にして代行会社へ共有してください。
Q5. マイナンバー管理を含む給与計算代行は、準備が整えば実際に最短1ヶ月で導入できますか?
導入に必要な資料がそろい、役割分担やデータの受け渡し方法を早く決められれば、短期間で切り替えられます。
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