
従業員が増えると、勤務時間の集計や残業代の計算、給与明細の作成などに時間がかかります。
「個人事業主でも給与計算を外部に任せられるのか」と疑問に思う方もいるでしょう。
個人事業主でも、従業員を雇っていれば給与計算代行を利用できます。
本記事では、外部に任せられる仕事、家族や従業員への支払いの違い、費用の決まり方、利用を検討する目安を分かりやすく解説します。
個人事業主でも従業員の給与計算を外部に任せられる
個人事業主でも、従業員を雇っていれば給与計算代行を利用できます。
法人でなければ依頼できないという決まりはありません。
ただし、依頼できる人数や業務は会社ごとに異なります。
ここでは、従業員1人から利用する場合の考え方、毎月任せられる作業、年末調整を依頼する際の確認点を説明します。
個人事業主でも従業員1人から給与計算代行を利用できる
給与計算代行は、従業員数が多い法人だけのサービスではありません。
個人事業主でも、正社員、パート、アルバイトなどへ給与を支払っていれば利用できます。
従業員1人から受け付ける会社もありますが、最低人数や最低料金が設定されている場合もあるため、契約前の確認が必要です。
個人事業主が従業員へ給与を支払う場合は、給与から所得税を差し引いて納める手続きが必要です。
国税庁によると、個人であっても給与を支払う人は、原則として所得税を差し引いて納めます。
給与を支払う従業員が常時9人以下なら、申請によって所得税の納付を年2回にまとめられる制度もあります。
給与計算を外部へ任せても、納付や計算結果の最終確認まで事業主の責任から外れるわけではありません。
個人事業主でも、従業員へ給与を支払う場合は、所得税を差し引いて納める必要があります。
原則として、給与を支払った月の翌月10日が納付期限です。
給与を受け取る人が常時10人未満なら、申請により年2回にまとめて納付できます。
出典:国税庁「源泉所得税の納付期限と納期の特例」
毎月の給与計算や給与明細の作成をまとめて任せられる
給与計算代行には、毎月の勤務時間の集計、基本給や残業代の計算、所得税・住民税・社会保険料の差し引き、給与明細の作成などを依頼できます。
賞与を年1回や年2回支給している場合は、賞与計算にも対応しているか確認しましょう。
賞与から差し引く所得税は、通常の月給とは異なる方法で計算します。
国税庁も、毎月の給与と賞与では所得税の計算方法が異なると案内しています。
銀行へ取り込む振込データや、給与額を記録する帳票まで作成してもらえる会社もあります。
ただし、出退勤の誤りを直す作業や、入退社・手当の変更を連絡する作業、計算結果の承認は事業主側に残る場合があります。
毎月1回、誰が何日までに勤務情報を渡し、誰が給与額を確認するのかを決めておくことが大切です。
年末調整まで任せたい場合は対応範囲と追加料金を確認する
年末調整まで依頼したい場合は、毎月の給与計算に含まれているのか、別料金になるのかを契約前に確認します。
依頼できる主な作業は、従業員からの申告書の回収、記入内容の確認、1年間の所得税の再計算、源泉徴収票の作成などです。
ただし、対応する作業は代行会社によって異なります。
国税庁によると、年末調整は、原則として年末まで勤務し、扶養控除等申告書を提出している一定の従業員が対象です。
対象となる給与は、1月1日から12月31日までに支払いが確定した分です。給与の総額が2,000万円を超える人などは対象になりません。
年末調整は短期間に書類確認が集中します。料金だけでなく、従業員への案内、不備があった場合の連絡、書類の保管まで任せられるかを確認しましょう。
支払う相手によってお金の扱いが変わる3つのポイント
個人事業主が支払うお金は、相手との関係や働き方によって、生活費、給与、外注費などに分かれます。
給与計算代行を個人事業主が利用する場合も、最初に「誰へ、何のために支払うのか」を整理することが大切です。
ここでは、間違えやすい3つの違いを説明します。
ポイント①:事業主が自分の生活に使うお金は給与や経費にはならない
個人事業主が事業用の口座から自分の生活費を引き出しても、従業員へ支払う給与にはなりません。
家賃や食費など、私生活のために使った金額も事業の経費にはできません。
国税庁も、家庭生活のために使った費用は必要経費にならないと案内しています。
例えば、毎月20万円を生活費として引き出す場合は、事業に使ったお金と私生活に使ったお金を帳簿上で分けて記録します。
給与計算代行へ依頼する対象は、事業主本人の生活費ではなく、雇っている従業員へ支払う給与です。
ポイント②:家族への給与を経費にするには事前の届け出と条件の確認が必要になる
同じ家計で生活する配偶者や親族へ支払ったお金は、通常の従業員給与と同じように経費にできるとは限りません。
青色申告をしている場合は、一定の条件を満たすことで「青色事業専従者給与」として経費にできます。
主な条件は、家族が15歳以上で、原則として1年のうち6か月を超えて事業に専念していることです。
届出書は原則3月15日までに提出し、年の途中で家族が働き始めた場合などは、その日から2か月以内に提出します。
仕事内容に対して給与額が高すぎる部分は経費になりません。
ポイント③:従業員への給与と外部へ仕事を頼んだ際の支払いは働き方で分ける
パートやアルバイトへ支払う給与と、外部の事業者へ支払う外注費は、契約書に書かれた名称だけでは決まりません。
厚生労働省は、仕事の指示を受けているか、報酬が働いたことへの対価かという2つの基準を中心に、実際の働き方から判断すると示しています。
例えば、勤務時間や場所を事業主が決め、日々の仕事を具体的に指示している場合は、従業員として扱う必要があります。
一方、仕事の進め方を本人が決め、完成した成果に対して報酬を支払う場合は外注に近くなります。
給与計算や保険手続きにも関わるため、給与計算代行を個人事業主が利用する前に働き方を確認してください。
給与計算を外注するかは従業員数と毎月の負担で判断する
給与計算を外部へ任せるかどうかは、従業員数だけでは決まりません。
勤務時間の集計にかかる時間、残業や手当の種類、担当者が休んだときに代わりの人がいるかも重要です。
ここでは、人数と作業負担から判断する方法と、料金を比べる際の確認点を説明します。
従業員1人でも給与計算の負担が大きければ外注を検討する
個人事業主が給与計算代行を利用する際は、従業員が何人いるかだけでなく、毎月の作業内容を確認します。
従業員が1人でも、勤務時間が日ごとに異なる、深夜勤務や残業がある、複数の手当を計算するといった場合は、確認作業が増えます。
給与を支払う事業主は、給与から所得税を差し引き、原則として支払った月の翌月10日までに納めます。
給与を受け取る人が常時9人以下の場合は、申請により年2回へまとめられますが、毎月の給与額と税額の計算は必要です。
国税庁も、通常の給与と賞与では税額の計算方法が異なると案内しています。
毎月3時間以上かかっている、計算できる人が1人しかいない、修正が毎月発生するといった場合は、人数が少なくても外注を比較する目安になります。
自分で対応する時間と間違いを直す時間も記録しておくと、費用を比べやすくなります。
代行料金は毎月の費用と追加料金を合わせて比較する
個人事業主が給与計算代行を比較するときは、月額料金だけでなく、1年間の合計額を確認します。
見積書では、利用開始時の設定費用、毎月の基本料金、従業員1人ごとの料金、賞与計算、年末調整、給与明細の郵送などを分けて確認してください。
例えば、基本料金1万円に1人あたり1,000円が加わる契約で従業員5人なら、月額は1万5,000円、12か月で18万円です。
ここに年1回の年末調整や年2回の賞与計算が追加されれば、年間費用はさらに増えます。
これは料金の仕組みを示す計算例であり、実際の金額は依頼先によって異なります。
比較するときは「同じ条件で何を任せられるか」をそろえます。
勤怠データの確認や修正、従業員からの問い合わせ、振込データの作成が基本料金に含まれるかを確認し、自分で行う作業も含めて判断します。
給与計算の依頼先は任せたい仕事と対応の早さで選ぶ
給与計算の依頼先は、毎月の計算、税金に関する手続き、社会保険に関する手続きのどこまで任せたいかによって変わります。
給与計算代行を個人事業主が選ぶ際は、料金だけでなく、質問への対応や利用開始までの流れも確認することが大切です。
毎月の給与計算・税金・保険手続きでは相談する相手が異なる毎月の給与計算・税金・保険手続きでは相談する相手が異なる
依頼先は、任せたい仕事を次の3つに分けると選びやすくなります。
毎月の勤務時間の集計、残業代や手当の計算、給与明細の作成を任せたい場合は、給与計算代行会社が候補です。
年末調整や税金について具体的な判断を求める場合は、税理士へ相談します。
国税庁によると、税理士の業務には、税務署への手続きの代理、税務書類の作成、税務相談の3つが含まれます。
従業員の入社・退職に伴う社会保険や労働保険の申請を任せたい場合は、社会保険労務士が候補です。
社会保険労務士は、雇用保険の届け出や社会保険の算定に関する書類作成・提出などを扱います。
1社ですべてに対応できるとは限らないため、税理士や社会保険労務士との連携体制も確認してください。
料金に加えて返事の早さ・利用開始までの期間・実績を確認する
給与計算代行を個人事業主が比較するときは、同じ条件で2~3社から見積もりを取り、毎月任せられる仕事をそろえて比べます。
金額が安くても、質問への返事が遅かったり、修正のたびに追加料金がかかったりすると、毎月の負担が残ります。
特に確認したいのは、質問への返事にかかる時間、急ぎの連絡方法、利用開始までの期間、同じ規模や業種の支援実績、計算結果の確認方法の5項目です。
担当者が決まっているか、休みの際に代わりの担当者が対応できるかも確認します。
利用開始までに1か月以上かかる場合もあるため、最初の給与支払日から逆算して準備します。
勤怠データ、給与規程、過去の給与明細、従業員情報など、事前に提出する資料も確認してください。
最後に、基本料金だけでなく、年末調整、賞与計算、修正対応を含めた1年間の合計額を比較すると、自分の事業に合う依頼先を選びやすくなります。
個人事業主でも給与計算を外注できる
個人事業主でも、従業員を雇っていれば給与計算代行を利用できます。
毎月の給与計算、残業代や手当の計算、給与明細の作成、振込データの準備などを任せられます。
ただし、自分の生活費、家族への給与、従業員への給与、外部の人への報酬では、お金の扱いが異なります。
外注するかどうかは、従業員数だけでなく、毎月の作業時間や計算の複雑さも見て判断しましょう。
依頼先を選ぶ際は、任せられる仕事、料金、返事の早さ、利用開始までの期間を比較することが大切です。
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給与計算のよくある質問
個人事業主が給与計算代行を利用する際に、準備する資料や現在のソフトの扱い、外注後に残る作業、導入までの期間について、よくある質問をまとめました。
Q1. 給与計算代行を始める前に、個人事業主はどのような資料を準備しておく必要がありますか?
従業員名簿、雇用契約書、給与規程、過去3〜6か月分の給与明細、勤怠データ、手当や控除の一覧が主な資料です。
賞与や年末調整も依頼する場合は、年間予定と対象人数も共有します。資料を先に整理すると、見積もりと引き継ぎが進めやすくなります。
Q2. 現在使っている勤怠管理ソフトや給与ソフトを変更せず、そのまま代行会社へ引き継げますか?
利用を続けられるかは、代行会社が対応するソフトやデータ形式によって異なります。
CSVで勤務情報を出力できれば連携できる場合もありますが、手入力や別ソフトへの移行が必要なケースもあります。
契約前にソフト名と出力形式を伝え、対応方法を確認してください。
Q3. 従業員から給与額や控除内容について質問があった場合、個人事業主と代行会社のどちらが対応しますか?
対応範囲は契約によって異なります。
計算内容の確認は代行会社、勤務時間や手当の根拠に関する説明は事業主が担当する形が一般的です。
従業員から代行会社へ直接質問できるサービスもあります。
窓口、回答期限、追加料金の有無を契約前に決めてください。
Q4. 給与計算を外注した後も、個人事業主側で毎月続ける必要がある作業には何がありますか?
勤怠データの確定、入退社や手当変更の連絡、計算結果の確認、振込の承認などは事業主側に残る場合があります。
すべてを任せられるとは限りません。
毎月の締め日までに誰が何を行うかを一覧にし、代行会社との役割分担を明確にしてください。
Q5. 給与計算代行への切り替えを希望する場合、運用開始までにどのくらいの準備期間が必要ですか?
給与ルールや過去データの確認に1〜3か月ほど必要になる場合がありますが、資料がそろっていれば短縮できることもあります。
みらいパートナーズでは最短1か月での導入に対応しています。
希望する給与支払日から逆算し、早めに引き継ぎ資料を準備してください。
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