
給与計算の担当者に業務が集中している、法改正への対応が負担になっているといった悩みを抱える企業は少なくありません。
そこで検討されるのが給与計算の外注です。
しかし、「本当に負担が減るのか」「デメリットはないのか」と不安を感じる方も多いでしょう。
本記事では給与計算を外注するメリットとデメリットをわかりやすく解説し、自社に向いているケースや業者選びのポイントまで紹介します。
給与計算の外注とは会社の給与業務を代わりに行ってもらうサービスである
給与計算の外注とは、毎月発生する給与計算業務を専門会社へ委託することです。
近年は人手不足や法改正への対応負担から、給与計算を社内だけで行うのではなく、外部の専門会社へ任せる企業が増えています。
しかし、「どこまで任せられるのか」「社内の仕事はなくなるのか」が分からず、検討が進まないケースも少なくありません。
まずは給与計算の外注がどのようなサービスなのか、依頼できる業務と依頼後に残る業務を整理していきましょう。
給与計算の外注とは何をするサービスなのか
給与計算の外注とは、従業員へ支払う給与額を計算する業務を専門会社へ任せるサービスです。
毎月の給与計算では、基本給だけでなく残業代や各種手当、社会保険料、所得税などを反映して最終的な支給額を算出します。
従業員が100名を超える企業では、毎月の計算対象者も多くなり、担当者の負担は大きくなります。
計算ミスが発生すると従業員への影響も大きいため、正確性が求められる業務です。
また、給与計算は企業が必ず対応しなければならない重要な業務です。
労働基準法では、賃金は毎月1回以上、一定の期日を定めて支払うことが義務付けられています。
そのため、支給額の計算ミスや支給遅延が発生しないよう、正確な運用が求められます。
出典:厚生労働省「賃金の支払方法に関する法律上の定めについて」
毎月の給与計算以外にも任せられる業務がある
給与計算の外注では、毎月の給与計算だけを依頼するわけではありません。
多くの会社では、給与に関連するさまざまな業務をまとめて依頼できます。
例えば次のような業務です。
・賞与計算
・年末調整
・給与明細の作成・配布
・住民税の更新対応
・勤怠データの集計
また、給与計算と勤怠管理を連携させることも可能です。
勤怠管理ツールとの連携に対応しているサービスも多く、現在利用しているシステムをそのまま活用できる場合があります。
外注しても会社で対応する業務は残る
給与計算を外注すると、すべての業務を任せられると思われがちですが、実際には会社側で行う業務も残ります。
例えば次のような業務です。
・勤怠情報の最終確認
・入社や退職に関する情報共有
・昇給や手当変更の連絡
・給与内容の最終承認
外注会社は提供された情報をもとに給与を計算するため、元になる情報が誤っていると正しい計算はできません。
そのため、会社と外注先が連携しながら業務を進めることが重要です。
また、新規導入時には過去の給与データや修正履歴の整理が必要になります。
実際に導入企業の約4割は過去の修正履歴をExcelなどで管理できておらず、最初の数ヶ月でデータ整理に時間がかかるケースがあります。(※自社調べ)
給与計算の外注は「丸投げする仕組み」ではなく、「専門会社と役割分担しながら正確に給与業務を進める仕組み」と理解すると分かりやすいでしょう。
給与計算を外注するメリット
給与計算を外注する企業が増えている理由は、単に業務を減らせるからではありません。
担当者の負担軽減やミスの防止、法改正への対応など、さまざまなメリットがあります。
特に従業員100〜300名規模の企業では、毎月の給与計算に多くの時間と手間がかかります。(※自社調べ)
ここでは、給与計算の外注によって得られる代表的なメリットを3つ紹介します。
毎月の給与計算にかかる時間を減らせる
給与計算には、勤怠データの確認や残業時間の集計、各種手当の反映、社会保険料や税金の計算など、多くの作業が発生します。
従業員数が100名を超える企業では、毎月数日かけて対応しているケースも珍しくありません。
給与計算の外注を利用すると、これらの計算業務を専門会社へ任せられるため、担当者の作業時間を大幅に削減できます。
実際に給与計算業務を外注した企業では、担当者の作業時間が平均で月18時間削減されたというデータがあります。(※自社調べ)
月18時間は、1日6時間勤務換算で約3日分に相当します。
削減できた時間を採用活動や人材育成、労務管理など本来取り組むべき業務へ充てられることは大きなメリットです。
担当者が急に辞めても業務が止まりにくくなる
給与計算は専門知識が必要なため、特定の担当者だけが業務内容を把握しているケースがあります。
この状態が続くと、担当者の退職や長期休職が発生した際に業務が滞るリスクがあります。
例えば、給与計算を1人で担当している企業では、その担当者が不在になるだけで給与支給日に間に合わなくなる可能性があります。
実際に、担当者の退職リスクが発覚したことをきっかけに外注へ切り替えた企業もあります。
外注先が給与計算の手順やデータを把握していれば、担当者が交代しても業務を継続しやすくなります。
特定の個人に依存しない体制を作れることは、企業にとって重要なメリットです。
法改正や年末調整への対応を任せられる
給与計算では、社会保険料率の変更や税制改正などに対応しなければなりません。
改正内容を見落とすと、給与計算ミスや従業員への支給額の誤りにつながる可能性があります。
また、年末調整は短期間で大量の書類を確認する必要があり、多くの企業で負担が集中する業務です。
実際に12月第3週は業務量が通常月の約4倍になるケースもあります。(※自社調べ)
給与計算の外注を活用すると、こうした法改正や年末調整への対応を専門会社と連携しながら進められます。
日常業務に追われながら制度改正を確認する必要がなくなるため、担当者の精神的な負担を軽減できることも大きなメリットです。
給与計算の外注のデメリット
給与計算の外注には多くのメリットがありますが、導入前に理解しておきたいデメリットもあります。
メリットだけを見て契約すると、「思っていた運用と違った」と感じる原因になります。
特に確認しておきたいのは「費用」と「情報共有」の2点です。
ここでは、給与計算の外注を検討する際に知っておきたい注意点を解説します。
毎月の費用が発生する
給与計算を社内で行う場合は、担当者の人件費以外に大きな支出を意識しないこともあります。
しかし、給与計算の外注を利用すると毎月の委託費用が発生します。
一般的には従業員数に応じて料金が変動するケースが多く、30名規模の企業と100名規模の企業では費用も異なります。
また、給与計算だけでなく賞与計算や年末調整を依頼する場合は追加料金が発生することもあります。
ただし、費用だけを見て判断するのは注意が必要です。
担当者が毎月費やしている時間や残業代、教育コストなどを含めて比較しなければ、本当の費用対効果は見えてきません。
実際に給与計算業務を外注した企業は、担当者の作業時間が数時間削減されることが期待できます。
また、料金だけを基準に業者を選んだ結果、対応品質に不満を感じて半年以内に乗り換えを行ったケースもあります。
給与計算の外注では、価格だけでなくサポート体制や対応品質もあわせて確認することが大切です。
会社の情報を共有する必要がある
給与計算を正しく行うためには、外注先へさまざまな情報を共有する必要があります。
例えば、従業員の勤怠情報、残業時間、入退社情報、扶養変更などのデータです。
特に従業員が100名を超える企業では、毎月共有する情報量も多くなります。
情報の伝達漏れがあると、給与計算ミスにつながる可能性があります。
そのため、社内と外注先で役割分担を明確にしておくことが重要です。
また、新規導入時には過去の給与データや運用ルールを整理する必要があります。
実際には、導入企業の約4割が過去の修正履歴をExcelなどで十分に管理できておらず、データ整理に時間がかかるケースがあります。
さらに、従業員情報を外部へ預けることに不安を感じる方もいるでしょう。
そのため、契約前にはアクセス権限管理や暗号化通信など、どのようなセキュリティ対策が実施されているか確認することが重要です。
安心して給与計算の外注を利用するためには、情報共有の仕組みとセキュリティ体制の両方を確認しておきましょう。
給与計算の外注は人手不足や担当者の負担に悩む会社に向いている
給与計算の外注にはメリットもデメリットもあります。そのため、すべての会社に必要というわけではありません。
しかし、人手不足や担当者への業務集中に悩んでいる企業にとっては、有効な選択肢になります。
特に従業員数が増え、給与計算業務が複雑になっている企業ほど効果を実感しやすい傾向があります。
ここでは、どのような会社が給与計算の外注に向いているのかを紹介します。
給与計算を少人数で担当している会社
給与計算を1〜2名で担当している会社は、給与計算の外注を検討する価値があります。
担当者が少ないほど、一人あたりの業務負担が大きくなるためです。
例えば、従業員100名規模の企業で担当者が1名しかいない場合、毎月の給与計算だけでなく勤怠確認や問い合わせ対応まで行わなければなりません。
繁忙期には残業が増え、本来取り組むべき業務に時間を割けなくなることもあります。
実際に、給与計算担当者が1人体制だった企業では、退職の可能性が出たことをきっかけに外注へ切り替えた事例があります。
給与支給は毎月必ず発生する業務であるため、担当者が突然不在になっても対応できる体制づくりが重要です。
年末調整の時期に残業が増える会社
毎年11月から12月にかけて残業が増える会社も、給与計算の外注が向いています。
その理由は、年末調整業務が通常業務に加わるためです。
年末調整では、従業員から提出された各種申告書を確認し、税額計算を行わなければなりません。
従業員が100名を超える企業では、書類確認だけでも大きな負担になります。
実際に年末調整業務は12月第3週に集中する傾向があり、この時期の業務量は通常月の約4倍になるケースがあります。(※自社調べ)
管理部門の担当者が通常業務と並行して対応することは簡単ではありません。
自社が「担当者1〜2名で給与業務を回している」「年末調整のたびに業務が集中する」という状況であれば、給与計算の外注による効果を得やすい企業といえます。
給与計算の外注は業務負担の軽減と安定した運用につながる
給与計算の外注には、毎月の作業時間を削減できることや、担当者への業務集中を防げること、法改正や年末調整への対応負担を軽減できることなど、多くのメリットがあります。
一方で、毎月の委託費用が発生することや、外注先との情報共有が必要になるといったデメリットもあります。
そのため、導入を検討する際は費用だけで判断するのではなく、自社の業務負担や人員体制、将来的なリスクも含めて考えることが大切です。
特に給与計算を1〜2名で担当している企業や、年末調整の時期に業務が集中している企業は、外注による効果を実感しやすいでしょう。
まずは自社の給与計算業務にどのような課題があるのかを整理し、外注によって解決できるかを確認してみてください。
その上で複数の業者を比較し、自社に合ったサービスを選ぶことが、給与計算業務を安定して運用するための第一歩となります。
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給与計算のよくある質問
給与計算の外注を検討する際によくある疑問をまとめました。
導入前の準備や対応範囲、切り替え時の注意点を確認しておきましょう。
Q1. 給与計算の外注を始める場合、どのような資料を準備すればよいですか?
一般的には従業員名簿、給与台帳、勤怠データ、給与規程、賞与支給履歴などを準備します。
特に過去の給与修正履歴が整理されていると移行がスムーズです。まずは現在どの資料が揃っているか確認しておくとよいでしょう。
Q2. 給与計算の外注を利用すると従業員からの問い合わせ対応も任せられますか?
業者によって対応範囲は異なります。給与明細に関する一次対応まで行う会社もあれば、給与計算業務のみ対応する会社もあります。
契約前にどこまで対応してもらえるか確認しておくと運用後のギャップを防げます。
Q3. 現在利用している勤怠管理システムを変更する必要はありますか?
必ずしも変更する必要はありません。多くの給与計算代行サービスでは既存の勤怠管理システムとの連携に対応しています。
ただし連携方法や対応範囲は異なるため、見積もり時に利用中のシステムを伝えて確認することをおすすめします。
Q4. 給与計算の外注先を変更したい場合、途中で切り替えることはできますか?
可能です。ただし給与データや運用ルールの引き継ぎが必要になるため、余裕を持った準備が重要です。
特に賞与計算や年末調整の時期を避けて移行すると負担を抑えやすくなります。契約条件も事前に確認しておきましょう。
Q5. 給与計算の外注を始めるまでにはどれくらいの期間がかかりますか?
一般的には1〜3ヶ月程度が目安です。従業員数やデータの整理状況によって期間は変わります。
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