属人化の危険性とは?起こる問題と防ぐ方法を解説

給与計算を長年同じ担当者に任せていると、「その人しか計算方法を知らない」という状態になりやすくなります。
普段は問題なく進んでいても、担当者が急に休んだり退職したりすると、給与計算が進まず、支給日に間に合わなくなる可能性があります。
こうした1人に仕事が集中している状態が「属人化」です。
本記事では、給与計算における属人化の危険性や起こる原因、自社で確認したいポイントを分かりやすく解説します。あわせて、社内で代わりの担当者を用意できない場合に、給与計算アウトソーシングを活用して仕事を止めない体制をつくる方法も紹介します。
属人化とは1人しか仕事の進め方が分からない状態を指す
属人化とは、特定の担当者だけが仕事の進め方や必要な情報を把握し、ほかの人では対応することが難しくなっている状態です。
給与計算では、「担当者しか計算方法を知らない」「担当者が休むと処理が進まない」といった状態が当てはまります。
属人化の危険性は、普段ではなく、担当者の休職や退職などによって急に表面化します。
ここでは、給与計算が属人化することで起こる3つの問題を見ていきます。
担当者が休むと仕事が止まってしまう
給与計算を1~2名で担当している場合、担当者が数日休んだだけでも仕事が進まなくなることがあります。
たとえば、勤怠データの確認方法や給与ソフトの操作方法を1名しか知らなければ、その人が休んだ際に「どのデータを確認すればよいのか」「次に何をすればよいのか」が分からなくなります。
特に給与計算は、好きなタイミングで処理できる仕事ではありません。
厚生労働省によると、労働基準法第24条では、賃金は原則として毎月1回以上、一定の期日を定めて支払うことが定められています。
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=73022000&dataType=0&pageNo=1&utm_source=chatgpt.com
そのため、給与計算の属人化の危険性を考える際は、「いつもの担当者が3日間休んでも給与計算を進められるか」を一度確認してみることが大切です。
やり方が人によって変わりミスが起こりやすくなる
仕事のやり方が担当者の頭の中だけにあると、別の人が対応したときに処理方法が変わり、ミスが発生しやすくなります。
給与計算では、基本給だけでなく、残業代や各種手当、欠勤・遅刻、社会保険料など複数の項目を確認します。
さらに会社独自の手当やルールがあれば、「この場合はどう計算するのか」を担当者しか知らないケースもあります。
たとえば、通常の担当者が急に休み、別の担当者が100名分の給与計算を引き継いでも、確認する項目や順番が共有されていなければ、抜けや重複が起こる可能性があります。
「毎月問題なく給与を支払えている」だけでは安心できません。
担当者が変わっても同じ手順で確認・計算できる状態になっているかが重要です。
担当者が辞めると仕事のやり方が分からなくなる
長年給与計算を担当している人は、日々の作業だけでなく、「この手当は誰が対象か」「この場合は誰に確認するか」といった細かな情報も把握しています。
こうした情報を資料に残していない場合、担当者1名の退職によって、仕事のやり方まで社内から失われる可能性があります。
退職が決まってから急いで引き継ぎを始めても、限られた期間ですべてを伝えるのは簡単ではありません。
特に年1回しか発生しない年末調整などは、引き継ぎ項目から漏れることもあります。
属人化の危険性を減らすには、担当者がいるうちに仕事の手順や注意点を書き出し、ほかの人でも給与計算を進められる状態をつくることが重要です。
属人化は仕事のやり方を1人だけが知っていると起こりやすくなる
給与計算の属人化は、突然起こるものではありません。「いつもの担当者に任せておけば大丈夫」という状態が続き、少しずつほかの人が仕事のやり方を分からなくなることで進んでいきます。
特に注意したいのが、仕事が1人に集まること、仕事のやり方を記録していないこと、必要な情報を1人しか知らないことの3つです。
原因① 「自分でやったほうが早い」が続き1人に仕事が集まる
給与計算を毎月担当している人は、勤怠の確認や給与ソフトへの入力などに慣れています。
そのため、「ほかの人に教えるより、自分でやったほうが早い」となりやすく、気づかないうちに1人へ仕事が集まります。
たとえば給与計算を2名で担当していても、実際には1名が計算を行い、もう1名は結果を確認するだけでは、計算担当者が休んだときに代わることができません。
この状態が数年続けば、担当者本人にしか分からない作業が増えていきます。
属人化の危険性を減らすには、「担当者がいるから大丈夫」ではなく、別の人でも同じ仕事を進められるかを確認することが重要です。
原因② 仕事のやり方を書いた資料がなく他の人が対応できない
給与計算には、毎月の勤怠確認や残業代の計算だけでなく、会社独自の手当や控除など、社内で決めたルールがあります。
こうした仕事のやり方を資料に残していないと、担当者が休んだ際に、ほかの人が「どこを確認すればよいのか」「どの順番で計算するのか」を一から調べることになります。
厚生労働省によると、会社は賃金台帳を作成し、労働日数や労働時間数、基本給、手当などを給与の支払いごとに記入する必要があります。
さらに、賃金台帳などの記録は法律上5年間の保存が原則とされ、経過措置として当分の間は3年間です。
給与計算を正しく続けるためにも、必要な情報と仕事のやり方を資料に残し、1名だけに頼らない状態をつくる必要があります。
原因③ パスワードやデータの保存場所を1人しか知らない
仕事の手順だけでなく、「必要な情報がどこにあるか」を1人しか知らない状態にも注意が必要です。
たとえば、給与ソフトのログイン方法、勤怠データの保存場所、過去の給与データの確認方法などを1名しか把握していなければ、その担当者が急に3日休んだだけでも必要な情報を探すところから始めなければなりません。
厚生労働省は、賃金台帳について必要事項を満たせば電子データでの記録・保存も可能としています。
一方で、必要なときにはすぐ表示できる状態にしておく必要があります。
属人化の危険性を防ぐには、仕事のやり方だけでなく、必要なデータの保存場所や確認方法も会社として分かる状態にしておくことが大切です。
担当者が3日休んでも仕事ができるか5項目で確認する
給与計算の属人化がどこまで進んでいるか分からない場合は、「担当者が急に3日休んだらどうなるか」を考えてみると確認しやすくなります。
特に、給与計算を1~3名で行っている企業では、仕事のやり方だけでなく、必要なデータや代わりに対応できる人がいるかまで確認することが大切です。
仕事が1人に集中していないか5項目で確認する
まずは、給与計算を担当している人が急に休んだ場合を想定し、次の5項目を確認してください。
・担当者が3日休むと止まる仕事がある
・仕事のやり方を1人しか知らない
・仕事のやり方を書いた資料が古い、または存在しない
・必要なデータの保存場所を1人しか知らない
・担当者の代わりに給与計算ができる人がいない
1つでも当てはまる場合は、担当者が不在になったときに仕事が進まなくなる可能性があります。
特に数百名分の給与計算を1~3名で担当している場合は、1人が抜けたときの影響を確認しておくことが重要です。
属人化の危険性を確認するときは、「今、問題なく仕事ができているか」だけではなく、「いつもの担当者がいなくても仕事ができるか」という視点で考えてください。
給与計算は給料を支払う日が近い仕事から確認する
属人化している仕事が複数見つかっても、すべてを一度に見直す必要はありません。
まずは、止まったときに従業員への影響が大きい仕事から確認します。
給与計算であれば、最初に毎月の給料を支払う日を確認し、そこから「勤怠の確認→給与の計算→計算結果の確認→振込データの作成」と順番に整理します。
厚生労働省によると、労働基準法第24条では、賃金は毎月1回以上、一定の期日を定めて支払うことが原則です。
そのため、担当者が不在だからという理由だけで、会社の都合に合わせて支払日を変更することはできません。
たとえば給料日まで残り5日しかない場合は、年1回の作業よりも、直近の給与計算を優先して確認します。
属人化の危険性が高い仕事から順番に整理することで、担当者が急に休んでも給与の支払いを続けられる体制をつくりやすくなります。
仕事を共有して代わりに対応できる人を決めれば属人化を防げる
給与計算の属人化を防ぐには、担当者だけが知っている仕事を減らし、担当者が休んでもほかの人が対応できる状態をつくることが大切です。
まず仕事の内容や進め方を整理し、社内で代わりの人を決めます。
人手が足りず社内だけで対応することが難しい場合は、給与計算を専門会社に任せる方法もあります。
仕事の内容・時期・やり方の3つを書き出して共有する
最初から細かな資料を作る必要はありません。
まず「どんな仕事があるか」「いつ行うか」「どのように進めるか」の3つを書き出します。
給与計算なら、勤怠データを集める日、給与を計算する日、内容を確認する日、給料を支払う日などを順番に整理します。
さらに、残業代や手当などの計算方法、間違いを見つけたときの確認先も残しておくと、別の人が対応しやすくなります。
厚生労働省によると、会社は賃金台帳を作成し、賃金計算期間や労働日数、労働時間数、基本給、手当などを記入する必要があります。
給与計算に必要な情報を会社として管理することは、担当者だけに情報を集中させないためにも重要です。
数百名分の給与計算を1~3名で行っている場合は、まず毎月必ず発生する仕事から整理すると進めやすくなります。
社内で代わりの人を決められない仕事は専門会社に任せる方法もある
仕事のやり方を整理したら、担当者が休んだ場合に誰が代わるのかを決めます。
しかし、給与計算を1~2名で行っている会社では、ほかの社員も自分の仕事を抱えているため、代わりの担当者を用意できない場合があります。
そのような場合は、給与計算の一部または全部を専門会社に任せる方法があります。
毎月の給与計算や勤怠データの確認などを外部に任せることで、社内の1人だけが仕事を抱える状態を減らせます。
ただし、専門会社に任せれば何もしなくてよいわけではありません。
会社独自の手当や給与の決まり、必要なデータをいつ渡すかなど、社内と専門会社の役割を事前に決める必要があります。
属人化の危険性を減らす目的は、担当者を仕事から外すことではなく、その人が急に休んでも給与計算を続けられる状態をつくることです。
社内で代わりの人を確保できない場合は、給与計算アウトソーシングも選択肢の1つとして比較するとよいでしょう。
まとめ|属人化の危険性を減らすには早めの対策が重要
給与計算を特定の担当者だけに任せていると、急な休職や退職によって仕事が止まったり、計算方法が分からなくなったりする可能性があります。
属人化の危険性を減らすためには、まず仕事の内容や進め方を書き出し、担当者以外でも対応できる状態をつくることが大切です。
特に給与計算を1~3名で担当している企業では、「担当者が急に3日休んでも給与計算を続けられるか」を確認してみてください。
社内で代わりの担当者を確保することが難しい場合は、給与計算アウトソーシングを活用する方法もあります。
担当者が辞めてから対応するのではなく、給与計算を止めないための体制を早めに整えておきましょう。
よくある質問
給与計算の属人化やアウトソーシングを検討する際によくある疑問をまとめました。
Q1. 給与計算を外部に任せると社内に給与計算が分かる人がいなくなりませんか?
すべてを外部任せにする必要はありません。勤怠データの準備や最終確認は社内、毎月の計算は専門会社など、役割を分ける方法があります。
誰が何を担当するかを決めて記録しておけば、外部委託による新たな属人化も防ぎやすくなります。
Q2. 給与計算をアウトソーシングすると社員の個人情報を預けても問題ありませんか?
給与計算では氏名や給与額など重要な個人情報を扱うため、委託先の管理体制の確認が必要です。
データの受け渡し方法、閲覧できる人の範囲、保管方法などを契約前に確認し、自社の基準を満たしている会社を選びましょう。
Q3. 給与計算の担当者が退職する直前でもアウトソーシングへ切り替えられますか?
対応できる場合はありますが、給与規程や過去の給与データ、勤怠情報などの準備状況によって必要な期間が変わります。
みらいパートナーズでは最短1ヶ月での導入に対応しています。
退職が決まってからではなく、属人化に気づいた段階で準備を始めることが重要です。
Q4. 給与計算の一部だけをアウトソーシングすることもできますか?
対応範囲は委託先によって異なりますが、給与計算の一部だけを外部へ任せる方法もあります。
現在社内で行っている作業を書き出し、「社内に残す仕事」と「外部へ任せる仕事」を整理してから、対応可能な範囲を委託先へ確認してください。
Q5. 給与計算の属人化対策はマニュアルを作成するだけでも十分ですか?
マニュアルを作成するだけでは、実際に担当者が不在になった際に対応できない場合があります。
作成後は別の担当者が手順を見ながら給与計算を進められるか確認することが重要です。
難しい作業が残る場合は、複数担当や外部委託も含めて対応方法を決めておきましょう。
株式会社みらいパートナーズ
公式サイト: https://www.mirai-ps.com/
給与計算代行サービス: https://www.mirai-ps.com/payroll/
料金シミュレーター: https://www.mirai-ps.com/payroll-simulator/
お問い合わせ: 0120-778-781(平日 9:00-17:00)
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